2009年09月06日

妹尾ゆふ子 『鏡の中の空 下』

「いざ行かん!」
声をはりあげたのは、預言者だった。神々しい光に包まれ、聖なる炎のように見えた。
「砂漠の子らよ行け、行って戦いの備えをなせ。その日は近い、もはや猶予はならぬ、行け!」
翼の帰る処2−鏡の中の空 下
妹尾 ゆふ子
幻冬舎コミックス ( 2009-08 )
ISBN: 9784344817401
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


鳥たちの繁殖にあてられてヤエトのもとに緊急避難してきた皇女ですが、読者が夢想するようなロマンス方面には向かず、むしろコメディへ(笑)。
皇女とヤエトは親子とか兄と妹、師と弟子、という関係が近いような気がするので、今の時点ではこういう展開の方がしっくりきました。でも少し主としての器の大きさを皇女が示しはじめてもいるので、それはそれで楽しみ。

今回はその皇女とヤエトが、ジェイサルドを通じて先代黒狼公から遺された(というか強引に受け取らされた)厄介な問題の解決と、黒狼公領と隣接する土地を預かる第二皇子とのいざこざをどう解決するかがお話のメインでした。
上巻の不在分を取り戻すかのようにルーギンが大活躍でしたが、その分じじ様の出番が減ってちょっと寂しい。終盤ルーギンやセルクが駆け付けるあたりなんて「自分も連れて行け」と迫りそうな気がしますが、何をしていたんだろう。じじ様はじじ様で、領地の方で何かしらやっていそうですね。

そして序章で預言者が出てきたときには「おお!」と思いましたが、やっぱりターンの神様でしたね。上巻に出てきた人と下巻で登場した人は別人でしょうが、上巻の人は『竜の哭く谷』で西へ逃げたサラヤ達の子孫なのかなーとか夢想してしまいました。下巻のしるべの星ウィエナは、むしろカララクが滅びた時に逃げ延びた人たちの末裔なんでしょうね。
ヤエトの過去視のなかでは遂にシルヴァーリエンまで登場し、恩寵が強まってきていることやジェイサルドの言っていた魔物の話からうかがえる世界の危機的な状況も、更にはっきりしてきています。
この辺の展開は、ファンタジー読みには嬉しい限り。
帝国のお家騒動や皇女と北嶺のすすむ道とそこに関わるヤエトや皇女、ルーギンやじじ様たちの人生という現実と、はるか過去から連なり今また危機を迎えようとしている世界の状況や、それをずっと見てきて時に手を貸してきた存在とが、きれいにより合わされて、ひとつのお話になってくれると嬉しいなー。そこまでちゃんと続くといいなー、と願っています。
タグ:妹尾ゆふ子
posted by 高 at 12:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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