2009年08月30日

紅玉いづき 『雪蟷螂』

愛しているから、あなたを喰べたい
「俺のすべてはお前にはやれない」
だから、と囁きは低く、かすれていた。
「俺の永遠をお前にやろう」
雪蟷螂
紅玉 いづき
アスキーメディアワークス ( 2009-02 )
ISBN: 9784048675239
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


涙も凍る冬の山脈。そこでは対立していた二部族の間で、長きにわたる氷血戦争と10年間の調停を経て、ひとつの婚礼が行われようとしていた。
その激情ゆえに愛する者を喰らうとも言われ、「雪蟷螂」と呼ばれるファルビエの女族長・アルテシアと、死後の永遠生を信じる「死人狂い」のミルデ族長・オウガとの婚礼は、しかし予期しなかった人々の想いが交錯する中、何処とも知れぬ方向へ向かおうとしていた――


『ミミズクと夜の王』、『MAMA』に続く、「人喰い三部作」の三作目。
人外のものが人を喰らうお話ではなく、人が人を喰らうお話という位置づけですが、グロくはないので大丈夫。むしろこの三部作で描かれる「喰う」は、深い愛情が絡む「喰う」なので、どれも美しく切ないお話です。
和平のためにファルビエのために、誇りと命を賭して婚礼という戦に臨もうとするアルテシア、その影武者でアルテシアに一身に使えるルイ。いまを生きるふたりの姿に、過去にその激しい恋情で身を焦がしたアルテシアの叔母・ロージアの物語が、深みを魅力を与えています。
静かに静かに、静謐に――けれど熱く激しく切なく強く流れる、女たちの物語でした。

とても魅力的に登場したアルテシアが、最後は蚊帳の外に置かれてしまった感が残ることと、ファルビエの凄烈さが強い印象と魅力を放っていただけにミルデの側にインパクトが欠けてしまったところが、少しだけ残念でした。
タグ:紅玉いづき
posted by 高 at 11:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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