2009年07月21日

雁野航 『洪水前夜 あふるるみずのよせぬまに』

古代オリエント、宇宙から堕ちてきた天使たちの行く末は――
「死ぬくせに」
言葉にしたとたん、涙があふれた。
思いが、堰を切る。
「ずっと一緒で、このままでいられると思ってるんだろう! だけどおまえも死ぬんだ! みんなそうだ! シンイディンナムもナアマもイシュタルウンミも、みんなだ! 面倒な感情は全部私に押しつけて、逝ってしまった! もう嫌だ!」
洪水前夜 あふるるみずのよせぬまに
雁野航
ウィングス文庫
ISBN : 978-4403540646


おもしろかったー!
古代オリエント、あの「ノアの方舟」などで有名な大洪水が押し寄せる数年前が舞台。
宇宙から落ちてきた「天使」と呼ばれる人々は、その翼をしまいこみ、人間にまぎれて迎えを待っていた。
けれど迎えは来ず、人間の女と結ばれて次々に堕ちていく天使たちと、その子どもである半天使たちの辿る運命はあまりにむごい。
これは、そんななか不老不死という運命を背負って生きてきた半天使のアダイアトゥム(以下アダ)と、そのアダの親友であるにも関わらず堕ちてアダに殺された天使シンイディンナム、その天使の息子トバルカイン、さらに怪物としてこの世に生まれおちた半天使ネピリムが織りなす恋物語です。

天使たちは自分に関わること以外を予知する力やその他にも様々な特殊能力を持ち、その力はアダにも受け継がれています。
その能力ゆえに勇士として称えられ200年の歳月を生きてきたアダは、けれどまたその能力ゆえに、これからこの世界を襲う千年先、二千年先の恐ろしい未来をもかいま見る。
すべての者においていかれ、人間たちには勇士として期待され、死ぬことを望みながら諦めていたアダの恋物語ですから、当然のごとく序盤から悲劇のにおいがプンプンしています。
破滅的なお話も好みなので楽しめました。
最後には救いもあるのですが、それがどんな救いなのかは、読んでみてのお楽しみということで(→でもアダも生き延びてふたりで幸せになるという結末もありだったんじゃないかなー。悲劇臭を思いきり漂わせておいて最後はハッピーエンドという方がさらに好みだったかも←)。

この人の他の作品も読んでみたいと思ったらば、刊行されてるのはこれだけ・・・!
うーむ、まぁメジャー受けはしないかもね(T_T)
ご本人様のサイトに番外編なども掲載されているようなので、見てみようと思います。

天使・洪水・終末・悲恋、などのキーワードがお好きな人におすすめします。
きもちSFファンタジー。
タグ:雁野航
posted by 高 at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/250561374

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。