2008年08月24日

ジョージ.R.R.マーティン 『乱鴉の饗宴』

そなたはクイーンでいよう......ただしそれは、つぎなるクイーン、より若く、より美しいクイーンが現われ、そなたをクイーンの座から引きずりおろし、そなたの愛しきものすべてをうばいとるまでのこと。

乱鴉の饗宴 上 氷と炎の歌 4 (氷と炎の歌 4) (氷と炎の歌 4)
乱鴉の饗宴 下 氷と炎の歌 4 (氷と炎の歌 4) (氷と炎の歌 4)


終わった・・・。やっと読み終わりましたよ、<氷と炎の歌>最新刊。
なぜこんなに時間がかかったのかというと、ひとつは例によって例の如く、第3部以前を途中で引っ張り出してきては読み返していたから。もうひとつの理由は、お気に入りの人物の登場が少なかったから、物語の世界に入り込むのに少々手間取ったから。ジョンとかデーナリスとか、アリアとかがお気に入りなんだよ。アリアはちょっぴりは出てきたけどさ。

!ここからは第三部までのネタばれが入っています。未読の方は要注意!



にしても、一旦お話の中に入り込んでしまえば、やっぱり圧巻でした。
レンリー公と北の王・ロブ、鉄諸島のベイロン王らの死によって五王の戦いも終わり、でもその後の混乱はむしろ増すばかりというウェスタロスの七王国。
キングズランディングの鉄の玉座には、毒殺されたジョフリーに代わり、弟のトメンがつきます。それだけならまだ良かったんだろうけどね、致命的なのはラニスターのタイウィン公が第三部の終わりで殺害されてしまったこと。幼い息子・トメン王の摂政大后として政権を握り、みずからを父タイウィン公の後を継ぐにふさわしい獅子とみなして暴走するサーセイを止められる人が誰もいません・・・。
タイウィン公の弟であり、サーセイから見ると叔父にあたるサー・ケヴァンや、双子の弟・ジェイミー(ジェイム)や、その他諸々、うまくすれば力になってくれたであろう人々をことごとく疑心暗鬼に駆られて遠ざけ、追従者で身の回りを固めていくその勢いはいっそ見事です。そうしてあれこれ策を弄しては、"これでこそ獅子の娘"と自画自賛してほくそ笑むのだけれど、遠巻きに見ている人々からは"なんて愚かな"と呆れられているという有り様。上巻こそサーセイってやっぱり好きになれないと思っていましたが、下巻を読み進める頃には、いっそ哀れを感じてしまいましたよ。

この第四部は、そんな感じでほとんどキングズランディングを握るラニスター家と、それに未だ膝を折らずにいる、または従うふりをして雌伏の時を狙っている他家の様子や、ウェスタロス各地に割拠する逆徒たちの様子などがメインです。
題して「乱れた七王国をサーセイは掌握できるのか!?(・・・なんだか無理っぽい)」の巻
そのメインの流れに、そこに絡んでくる他家の内側でのお家騒動、メイスター・エーモンと共にオールドタウンのシタデル(知識の塔)に向かうサムウェルの旅や、ジャケン=フガーから貰った鉄の貨幣でブラーヴォスに渡ったアリアのその後などが挟み込まれています。
そう言えばジャケン=フガーらしき人も、上巻に姿を見せていましたね。多分そうだと思うのだけど...。だとすると、これからの雲行きが怪しくなりそうなシタデルも、さらに目が離せなくなりそうです。

サーセイとジェイミー双子の行く末は勿論、とんでもないところで終わっているアリアの今後や、今回ほとんど登場しなかったジョンやデーナリス、ブランたちが気になります。逆徒たちといるケイトリン(キャトリン)にいつかまた光が訪れるのかということも気がかりだし、タリー家のブラックフィッシュは今後どうするのかとか、サムは無事にメイスターの学鎖を手にすることができるのか、その前にシタデルでひと悶着ありそということとか、色々色々続きが気になります。
早く第五部を読みたいところですが、今現在まだ原作自体が出ていないんですよね。一応来年刊行予定ということですが、原作が出てから邦訳が出るまでにかかる時間も計算に入れると、少なくとも、あと五年はかかるんでないかと思います。うあー!!

追記:訳の変更について
あちこちで取りざたされているように、訳者の変更に伴って訳語もかなり変わりました。
夜警団が<冥夜の守り人>に、シタデルである<大城砦>が<知識の塔>に、マイスターがメイスターにと細かく変わっていますし、一番混乱したのは人名の変更。ブリエンヌがブライエニーですからね。
訳者さんとしては、原作者の意図を一番に考えようというプロならではの義務感みたいなものがあってのことのようです。そのせいか、カタカナのルビもやたらと増えたなぁという印象。
<冥夜の守り人>とか<知識の塔>とかは、むしろ意味的にこちらの方がしっくり来ますし、下巻に入ることにはこの変更にも大分慣れてきて、おおむね気にせず楽しめるようになりました。
ただファンタジー・ファンでもある読者の願いとしては、日本語で読んだ時の世界観も重要視してほしかったなぁという正直な感想もありますし、あちこちでも叩かれているようですが、実際原語では絶対に読めないし、これだけの大長編をしかも第四部からの訳者交替という負担を抱えつつ訳してくれたことについては、ありがとうです。だから第五部以降もがんばって早く訳してください(まず原作か)。
posted by 高 at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 外国人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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