2008年08月06日

あさのあつこ 『ミヤマ物語 第一部』

――ウンヌへ行け
飛ぼうと思った。力尽きて、この枝に留まれなくなったら、そのときは両手広げて飛んでみよう。鳥のように飛べるなんて思いはしない。翼を持たない遠流は、まっさかさまに落ちていくだけだ。それでもよかった。そうすれば、楽になれるかもしれない。楽になりたかった。早く、楽になりたかった。
ミヤマ物語 第一部
あさの あつこ
毎日新聞社 ( 2008-06-21 )
ISBN: 9784620107257


ミドさまの結界のおかげで、外界のマノモノ−ヒト−に脅かされずに生活しているウンヌの村で、絶対的な階層の区別に従って生きる暮らしに淡い疑問を抱きながら母と生活していた少年ハギと、その外界である現代日本でいじめられて不登校になった少年遠流(とおる)の物語。

あさのあつこさんのr少年の葛藤と成長の物語。
『NO.6』や『ヴィヴァーチェ』の同じ系列と言えるかと思いますが、今回特筆すべき点は、主人公が二人いるということ。
その一人、ウンヌの村に住む少年ハギは、これまでの物語の主人公と同じく、絶対的に定められた世の中の仕組みや掟を諾々と受け入れることをよしとせず、自分の運命を自分で決めようとあがく少年です。
もう一人の主人公は、生きる気力を失いかけている、現代日本に住む中学生・遠流。
ハギはマノモノ(ヒト)がいる恐ろしい世界と言われる・・・けれどウンヌの掟に縛られない外界に思いを馳せ、一方、遠流は、長いこと親しんできた楠の大樹から聞こえた「ウンヌへ行け」という言葉に抗いがたい引力を感じ、亡父の故郷であるという日本の片田舎・雲濡(ウンヌ)村を訪れる。
その二人が出会うところで、この第一部は終わっています。

これから二人はどうなるのか。ウンヌとは一体どういう存在で、雲濡はどういう関係なのか。ウンヌを外界から守っているというミドさまとは何者なのか。
この先展開されるであろう物語が楽しみです。

余談:なんとなく、今市子さんの『百鬼夜行抄』を連想しました。
ラベル:あさのあつこ
posted by 高 at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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