2008年07月07日

あさのあつこ 『ヴィヴァーチェ 紅色のエイ』

諦めるな、諦めるな
ただ、押し潰されそうなのだ。父が逝き、祖母が逝き、妹は奪われ、ただ一人残った母さえも消えていこうとしている。そんな現実の前には、自分が手にしている希望など、たわいもなく踏み躙られてしまいそうだ。ぺしゃんこになってしまいそうだ。怖い。そして、感情が消え、猛り、荒れ狂う。
ヴィヴァーチェ  紅色のエイ
あさの あつこ
角川グループパブリッシング ( 2008-07-04 )
ISBN: 9784048738637


角川が新たに創刊した「銀のさじ」シリーズの第一弾として刊行された、あさのあつこさんの新作。オビには「ファンタジー」と銘打たれていますが、どっちかというと近未来SFのかたちをとった少年の成長物語。
雰囲気としては『NO.6』にとっても近い。

宇宙貨物ステーションが建設されてから、あく色の霧に閉じ込められ、それまでの貧しいながらも幸せだった生活から、未来に対する希望のない最下層の生活に一転してしまった地域に育った少年ヤン
ステーションで働いていたヤンの父親は、ある日突然死します。それは、やはり同じ仕事をしていた他の人間二人も同様なのですが、その原因は結局明かされないまま。そしてその二年後には、まだ幼い妹ナコを王宮の使者に連れ去られ、そのことにろくな抵抗もできない。
緩慢な絶望と諦めに満たされた生活の中、父親の死の原因を突き止め、妹を取り戻す、そしていつか、親友のゴドとともに宇宙へ飛び出すという意思を胸に、這い上がろうとする少年の物語。


そんな彼のまだ短い人生に、過去にあった宇宙貨物船ヴィヴァーチェの悲劇の謎や、勃発したクーデターなどが絡まり、お話が急展開を始めたところで、この1巻は終わりました。
正直もうちょっと続きを書いてー!と言いたいところ。『NO.6』もそうだったけど、ホントいいところで終わってくれます。
使い古されたテーマかもしれないけど、近未来、統制された世界の抱える謎、その世界への反逆、成長物語、冒険・・・この辺のキーワードには、どうしても惹かれてしまいます。あさのあつこさんだから、語りは絶品で飽きさせませんしね。
ただ雰囲気とかが『NO.6』とかぶるので、そこを二番煎じにさせずにどう展開していってくれるのかが少々気になります。この作者さんなら、あまり心配いらないような気もしますけど。
とにかく、続きも購入決定です。願わくば、あまり待たされませんように。
posted by 高 at 18:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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