2007年05月06日

五條瑛  『純棘 Thorn』

―― それこそが、革命だ。
「だからこそ、見てみたいんだ」
サーシャは静かに、だが冷ややかな声で言った。
「何をだ」
「国を失った者が、新しい場所で同じように生きていけるものなのか。二つ目の祖国を受け入れることができるのか......。漂流者である彼らが、どこに根を下ろすのか。そして、その選択を後悔することはないのか、それを知りたい。」
純棘―Thorn (R/EVOLUTION 6th Mission)
五條 瑛
双葉社 ( 2007-02 )
ISBN: 9784575235739
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


国内から外国人を排除し、日本人だけの純血を守ろうとする武術家・田沼。在日外国人を擁護することで出世を狙う人権派の若手議員・松任。
正反対の二つの思想は、真の革命を起こそうとする見えない力に操られ、さらなる大きな渦を巻き起こしていく――


サーシャ様が暗躍する革命小説も、遂に後半に入りました。
今回は新登場のカリスマ的で狂気と紙一重な信念を持つ武道家・田沼と、前巻にちょろっと登場した若手議員・松任を中心に展開していきます。ふたりはそれぞれ『我が青春の防人』『神が去ったプノンペン』という本を手にするのですが、これは今までにもタイトルだけよく出てきていた本で、今回初めて内容が明かされます。そこに書いてあったのは、戦時中に大陸で暗躍し、戦後日本で大きな力を得るに到った3人の人物とその一族の隠された過去でした。ふたりは、自分が知った過去を切り札に、自身の目指すところを実現するための力を手にしようとします。もちろん彼等がなすことはそれだけではなく、他にも色々と地味なことも派手なこともしでかすのですが、この本の内容もなかなかに興味深いものでした。過去から世代を超えて連綿と続いている因縁みたいなものを感じて、そそられます。

また、これまで謎に包まれていたサーシャの過去が少しずつですが明かされてきて、そこもとても嬉しかったです。やっぱりロシア・・・というか旧ソ連の人間みたいですね。彼の抱える悲哀というか、絶望、闇、空虚みたいなものが感じられました。
タグ:五條瑛
posted by 高 at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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