2005年10月23日

妹尾ゆふ子 『皇帝の華』

マルディアスの天よ地よ そして流れゆく時よ
我が声をして語らしめよ そして祈りを与えよ
「ぼくは、賢くなろうとしてもいいのか」
「なに馬鹿なことをいっている。馬鹿だからか。ああ、完結してしまったではないか! 賢くなってはならぬという法などないくらい、わかるだろう。レリアといったか......?」

4757515421小説 ロマンシング サガ -ミンストレルソング- 皇帝の華 (ゲームノベルズ)
妹尾 ゆふ子 小林 智美
スクウェア・エニックス 2005-09-30

by G-Tools


衰亡の兆しを見せ始めたバファル帝国の皇帝・レリア四世は若干10歳。政権を握る皇太后に生死を握られたまま、ただ無為に時間が過ぎさるに任せていた彼を護るのは、護衛としてつけられた流民の娘・ローザだった。
破壊神を封じる運命石のひとつ・水のディスティニストーンがローザに下賜され、ローザリア王国が興るまでの物語


ゲーム「ロマンシングサガ ミンストレルソング」のノベライズですが、ゲームをしていなくても楽しめました。
というかゲームもしてみたくなったんだけど、生憎うちにはPSがないので無理です。
時々面白そうだよなぁというゲームの評判を見たり聞いたりするのだけれど、ゲーム機を購入してしまったら、もう終わりだという不安があって買わずにいる。

物語は、自分の生死を賭けの対象にされ、自らは無力であらねばならぬという状況に育った皇帝・レリア四世と、その護衛として付けられた、後のローザリア王国勃興の祖・ローザ、まだ幼いレリア四世の教育係となる偏屈な法務官・ヘルマン等を中心に進んで行きます。
その他、レリア四世の友人となるも、実際はバファル帝国に差し出された人質としての立場にあるジャックリスキス、レリア四世が拾い育てた狼のアンバーなども出てきます。
それらの物語を、ゲーム中で重要な役割を果たす詩人が語って聞かせるという設定。

ヘルマンやリスキスが好きでした。仮にも皇帝をバカ呼ばわりしつつも、自らの信念を皇帝に教える法務官もいい味だし、色々悩みながらも吹っ切った後のリスキスは、なかなか小気味いい。
ノベライズだからか、同著者の他の作品よりも視点が高いというか、登場人物たちより遠い気もしました。世界全体を俯瞰しているような。
それがこの物語を語っている詩人の視点なのかもしれませんが、この詩人が<夢語りの詩>を髣髴とさせてしまって、そのシリーズの中でずっとストップしている『覇者の砦』の続きを読みたくなってしまって困ってしまった...。続きは出ないんだろうなぁ。

物語の後半、ローザが月と獣の女神・エリスと語る場面は、いつもの妹尾さんならではの幻想的な空気が全開になっていて素敵でした。
レリアの母でありながら、政権を握り彼の生死を賭けの対象とする皇太后や、皇太后に雇われてレリアの護衛としてつき、のちに一族の運命に従い彼のもとを離れるローザ、苦悩を抱えながらレリアの傍にあったジャックやリスキスの胸中も、もっと読んでみたかったです。
ラベル:妹尾ゆふ子
posted by 高 at 14:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。