2004年12月12日

森博嗣 『四季 春』

S&Mシリーズ、Vシリーズの集大成。
天才・真賀田四季の真実とは――?
「それじゃあ、今の僕なんかも、取り残されているよ、きっと」
「どこに?」彼女は僅かに首を傾げる。
「空間でも、時間でもないところに」僕は答える。それは、いつも何かの拍子に思いつくこと、あるいは、どういうわけか、躰が感じている、とでも表現できることだった。
「もう少し分かりやすく言うと、もしかしたら、君のいないところに」
四季 春 (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 ( 2006-11-16 )
ISBN: 9784062755689
おすすめ度:アマゾンおすすめ度


S&Mシリーズの『すべてがFになる』『有限と微小のパン』に登場する天才科学者・真賀田四季の幼少時代
幼い頃から、その天才ぶりを発揮していた四季は、その才能ゆえに、時間からも空間からも乖離したところで思考しつつ、現実からの拘束も受けていた。その不自由なアンバランス。四季にもっとも近いものとして存在する其志雄は、彼女を守ることができるのだろうか?


今まで現れるたびに魅力を感じていた登場人物が主人公のお話なので、すぐに買って読みました。
少女という言葉からは随分とかけ離れた女の子でありながら、やはりどこかで少女らしい実直さや繊細さもかいま見せる四季は、ある喪失を体験して少女時代に別れを告げます。そこまでのお話が、この『春』です。
語り手が四季自身ではなく其志雄である「僕」になっていたのには、なるほどこういう手法で来たかと感心しました。
其志雄は四季の中に存在する3つの人格の内のひとりであると『すべてがFになる』の中で紹介されています。そうすると『夏』以降はその他の人格である須磨・ミチルが語り手として登場するのでしょうか。 現実に存在する須磨らと、四季の中に生まれた人格たちと、四季が生み出すドラマが楽しみです。

最後にひとつ。このお話は、森博嗣さん初読にはオススメできません。S&MシリーズやVシリーズを読まれて、森ワールドに惹かれる方に向けて書かれた作品のようです。 あ、ちなみにVシリーズの主人公・紅子さんが、ちょっとだけ登場していました。
ラベル:森博嗣
posted by 高 at 15:41| Comment(0) | TrackBack(1) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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森博嗣「四季 春」
Excerpt: 森博嗣の「四季 春」を読みました。天才科学者、真賀田四季の少女時代。主に5歳の時、そして8歳の時、最後に13歳の時の事が書かれています。なんとなくコリン・デリスターの文体を意識して書いているような。誰..
Weblog: tetuyaのホームページ
Tracked: 2004-12-28 05:29
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