2004年12月12日

森博嗣 『有限と微小のパン』

では、常に意味があって行動しているの?
「私たちは、どこへ行くと思います?」
「どこへ?」
「どこから来た? 私は誰? どこへ行く?」
有限と微小のパン
有限と微小のパン
森 博嗣〔著〕
講談社 (2001.11)
ISBN : 4062732947


日本最大のソフトメーカー・ナノクラフトが経営するテーマパークを訪れた萌絵とその友人たちは、過去、そこで起きた不可解な事件の話を聞く。 同じ頃、犀川は妹からナノクラフトが作製・販売しているRPG「クライテリオン」に関する話を聞くが、そこには3年前にふたりが関わった事件の首謀者・真賀田四季博士の影が...。

ついに<S&M>シリーズ最終巻です。
見事でした。真賀田博士の登場や言動から来る森ワールド独特の雰囲気もさることながら、前9作すべてここに到るまでの伏線であり、要素だったのですね。 10冊読み終えてみると、やはりこのシリーズの中で一番好きなのは第1作『すべてがFになる』と本作『有限と微小のパン』ですが、かといってこの2冊だけではストーリーが完成しなかったというのもよく分かりました。
ないものをあると信じること、綺麗とか美しいということ、名前というもの、1つであるということ、一瞬で消えてなくなるもの、時間という概念、生と死......ここまでに提出されてきた主題が、本作で集約され完成されています。 好きだなあ、こういうの。

ちょっとだけネタばれです。
存在というものがどこから来てどこへいくのか、とは、もうずっと昔から使い古されているにも関わらず繰り返し問われ続けているテーマですが、それに対してこんな答を返したお話って他には知りません。 不完全だからこそ愛しい・大切だとか、逆にまったく意味などないのに生きていかなければならないという悲愴さとか、色々あるけれどこれはどちらでもない。単に意味はない。でも意味があるかないかということすらも、たいした差ではない。ただそこで生きている。そんな感じです。

萌絵嬢の成長ストーリーと読むか、森博嗣独特の世界(ここでそれを表現するのは主に真賀田博士と犀川助教授ですね)をたゆたってみるか、多分二通りの読み方があるでしょう。純粋なミステリィとして読むには少し辛いかもしれません。
『すべてがFになる』は好きだったけれど、その後このシリーズから離れてしまったという方がいたら、とっても邪道だけれど、少し飛ばしてこちらを読んでみるのもいいかもしれません。
タグ:森博嗣
posted by 高 at 15:31| Comment(4) | TrackBack(4) | 邦人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。TBもしました。
4冊を読み飛ばすという邪道を犯しましたが(^^ゞ、この作品には感動しました。世界観がいいですね。
Posted by Yuseum at 2005年04月16日 03:09
はじめまして、TBありがとうございます。
やっぱりこの世界観が森博嗣さんの魅力ですよね。
私も大好きな作品なので嬉しいです。
こちらからもTBしておきますね。よろしくお願いします。
Posted by 高 at 2005年04月16日 14:25
初めまして。森博嗣さんのS&Mシリーズは面白いですよね。
この「有限と微小のパン」は特に哲学的で面白かったと思います。
Posted by heartday810 at 2006年04月14日 21:54
heartday810さん、はじめまして。
このシリーズ面白いですよね。
おっしゃるとおり、特にこの最終巻と最初の「すべてがFに…』とが哲学的で、一番好きでした。
Vシリーズやその後も気になってはいるのですが、結局読了したのはこのS&Mだけです…。
heartday810さんは他シリーズも読まれましたか?
Posted by 高@管理人 at 2006年04月15日 19:46
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/250560702

この記事へのトラックバック

有限と微小のパン/森博嗣
Excerpt: 『有限と微小のパン―THE PERFECT OUTSIDER』 森 博嗣 (著)
Weblog: 葉兎の本棚
Tracked: 2005-03-10 21:44

『有限と微小のパン』読了!
Excerpt: 有限と微小のパンposted with 簡単リンクくん at 2005. 4.14森 博嗣講談社 (1998.10)通常2?3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 有限と微小のパ..
Weblog: ミステリ通信「みすみす」blog
Tracked: 2005-04-16 03:07

有限と微小のパン 森博嗣
Excerpt: S&Mシリーズ最終作。 最終作にふさわしいようなボリュームのある本。 読み終えるのに時間かかりましたでもこれでS&Mシリーズが終わってしまったと思うとちょっと寂しいです 「自分とはいったい何なの?」と..
Weblog: 読書日記
Tracked: 2006-04-14 21:54

欠けているのは
Excerpt: 欠けているのは僕らの方ですよ。欠けているからこそ、人間性なんてものを意識して、子...
Weblog: ことのはの保管所
Tracked: 2007-05-14 18:46
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。